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『10万年の世界経済史』
池田信夫氏のブログhttp://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51301267.htmlで紹介されていたので、興味をもって読了。
10万年という題名から人類の悠久な世界史を期待していたが、1800年を境にした、以前・以後の物語で大きくひとくくりになっていたので、少しイメージしていたものとは違っていたが、それはそれとして、本書は大変興味深い1冊だと思う。
まず、「マルサスの罠」。
1.各社会の出生率は、それを制限する慣習によって決定されるが、物質的生活水準が上昇すれば増大する。
2.各社会の死亡率は、物質的生活水準の上昇にともなって減少する。
3.人口の増加にともない、物質的生活水準は下落する。
・・・という、仮定から、ある社会の人口は、一定水準で高止まりし、生活水準は最低限で固定される。というのが、マルサスの罠である。
ある社会の生産能力が300だった場合。100人の人口だと、生活水準は「3」になる。
200人の人口だと生活水準は「1.5」、300人だと「1」である。「1」を切ると生存ができない人が出てくるので、生活水準が「1」になるように、人口が自動で調整される。「1」以上の場合は、人口が増加し、やがて「1」になる。
仮に、生産能力が600に増加した場合、人口が300人の場合、生活水準は「1」から「2」に倍増するが、やがては人口が増加して600人になって生活水準は「1」に戻る。
1800年までの世界は、このようなことの繰り返しで、生活水準が上昇するには、人口の減少によってのみもたらされた。「戦争」「伝染病」などによって、人口が減少したとき、生き残った人々の生活水準は上昇する。
1800年代以前の時代でも生活水準「1」もしくは「1」以下にあった人々は、原始時代にサバンナで狩をしていた人々よりも貧しく不幸で、労働時間が長い場合があったという。
生活水準が「1」を遥かに上回るところにあったサバンナの原始人たちは、人口が増加し続けている余力のある社会であり、、短時間で労働すれば1日の食材を手に入れ、幸せに暮らすことができた。
文明が進歩し、原始時代と比べても格段に技術進歩していた近代であったとしても、生活水準が「1」を切っていると多くの人々の生存が脅かされ続ける。
1800年までの人類は如何に賢くとも、知識や言葉や火を使える唯一の生き物だったとしても、他の動物と同じく、「マルサスの罠」という自然の摂理に従い、人口は増加し続け、社会が許容する人口の限界点まで増殖を続け、生活水準が「1」を割り込み、庶民の生活は困窮する。
しかし、多くの人類は、1800年を境に、我々は「マルサスの罠」から離陸し、人口の増加と生活水準の上昇を同時に実現するようになった。
なぜ?
知識が向上した。効率が向上した。石油を始めとするエネルギーが増加した。ということが考えられるが、どうなのか。
1800年以降にもマルサスの罠から脱出できない国々も多い。マルサスの罠から脱出した国とそうでない国。違いは知識を有していて、労働者の作業効率が高いかどうか。作業者の優秀さが違うという結論。
先の池田信夫氏に言わせれば、英国で始まった産業革命は、英国と同等以上の知識、労働者を有しながらマルサスの罠から脱出できなかった国もあることから、一概に限定できないと指摘している。
何が、マルサスの罠から脱出させたのかは不明と言うことか。
だが、いずれにせよ、我々はすでにマルサスの罠から飛び出している。
ほんとうに飛び出しているのか?
本当のところは飛び出していない。単に社会が許容する生産能力が増加したに過ぎない。やがて今の社会で許容される生産能力を人口で割った生活水準が「1」を割り込む日がくるだろう。
すでに日本では「1」を割り込んでいるかもしれない。若者に生活がすでに脅かされているのだから。
そこから脱出する方法は、人口を減らすか、生産能力を増加させる社会の進歩以外にないのではないか。人口を抑制できるのか。社会を進歩させることはできるのか。
人口を制限するものへの戦い、人類を進歩せしめる戦い。
エネルギー源が石油のようなストックの場合、いずれ生産能力を激減させる可能性がある。
フローなるエネルギーの発見と、人口を減らす圧力への戦いこそ、近い将来に起こりえる生活水準「1」以下に低減するその日に備えることに違いないかと思われる。
お勧め度 ★★★★☆
















